昔話 人生を変えた500円
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以前の過去記事の続きのお話。
今はパチンコ屋って席に座って、台の横にお札を直接入れられるようになっているのです。
1万円も含めた全てのお札が入って、残高も出て勿論残金も清算できます。
とっても便利な時代。
俺が現役の時は、パチンコは懐かしのパッキーカード、スロットは1000円しか受付してくれないので、皆1000円が無くなるたびに両替機へ行くのです。そんな時代。
少し経つとパッキーカードは少しづつ無くなり、直接現金が使えるようになるのだが、俺の働いていた店は500円玉しか使えない仕様だった。その為、皆、両替機で大量に500円に両替する。
一見、不便すぎるシステムだが、このシステムが俺の人生を変えたんだ。
もう、時効だろうけどフィクションって事で。
500円しか使えないから当然客は大量の500円玉を所持する訳です。
もう、想像できるけどあらゆるところに500円玉が落ちております。
スーパーマリオのコインを取るイメージで500円祭。
一番良く落ちていたのは台の横の500円を入れて玉を買う場所の返却口。
もう店内を歩いている時なんて客の事なんか見ないで返却口しか見ていない。
キラっと一瞬光る物があるんだ!そうだ500円パイセンだ。
でも、店員の俺が指突っ込んで返却口ほじくり回して500円とってポケットに入れてたら、完全にアウトだよね。
そんな時は、台を清掃する布巾で掃除しながら返却口の中もフキフキして最後に布巾越しに500円を回収してミッション完了。時間にしてものの5秒の出来事。
その日からスタッフ全員とても掃除熱心になったのは言うまでもない。
こんな素敵な500円ライフが続いていたのだが、全員500円回収の腕も上がり、それに伴い回収金額も増えていく。
1人で日に1500円~5000円程度の上がりで出ているので、馬鹿に出来ない金額である。
ちなみに1日の最高金額は確か12000円位。浅草の店で三社祭の日で祭途中に打ちに来た人がもうワッショイワッショイ500円を落としていった。
ここで問題になるのは、スタッフ間で回収金額に差が出てしまい不満が出始めていた事。回収の腕だけの話だけではなく、担当フロアによって物凄い差が出る。
早番のリーダー的存在であった俺はこの事実を重く受け止め対策を考える。
そして、その日いたスタッフの人数で回収金額を割り平等にする方法。
ギャンブルに置いてのいわゆる「のり打ち」と呼ばれる行為と同じである。
※のり打ちとは例えば複数人でパチンコに行って全員の収支を合計して割って一人頭の金額を揃える行為。一人で打つより、勝ち額も減るが負けも圧倒的に減り収支が安定する。八王子軍団と呼ばれる八王子のパチスロのプロ集団が広めた行為。
漫画にもなってたね。昔の漫画すぎてアマゾンとかで出てこなかった(-_-;)
んで、仲間で一丸となってとにかく店中の500円を回収。
返却口だけでは無く、床に落ちている事もあれば便所にある場合もある。
晴れの日も台風の日も頭の中は500円。
そしてみんなでサインを決めたんだ。
流石に店員同士が「あっちで沢山500円あったよー!」なんて会話は出来ないのでサインで会話する事にした。あと、広い店内だとおのずとスタッフ同士近くにいる事は少ないので目で見て理解できるサインがどうしても必要であった。
制服が半袖のシャツだったので、右手でシャツの左袖を掴んでそのあとにハンドサインで台の番号を伝達。
例えば自分以外のスタッフのエリアで500円を見付けたら、そのスタッフに向かって左袖を掴みその後手で 1 、5 、と番号を出してあげる。
それは15番台に500円あり!って意味。
逆にその15番台の500円を既に回収済、もしくは客が気付いて回収済の場合は、
制服の衿を掴んでから、1、5、と番号を出す。
スタッフ全員がこれを行う事により、情報が整理され無駄な動きが無くなり更なる効果を発揮していった。
この頃から、日々の生活費は給料を一円も使わずその日仕入れた500円だけで生活をするチャレンジをしたりもしていた。
俺の500円での月の収支は5万円近くあった。多い時は7万円を超えた。
手帳を買い、日々いくら稼いだか記入した。さらにはおおよその時間帯とゲット場所も覚えている所は記入した。
そして、その当時バンドの告知も含めて書いていた今はなき「さるさる日記」で月末に収支を報告するという意味の解らない事をしていた。
俺はこの500円を貯めバイクの免許を取得。
さらにはYAMAHAのSRを購入する頭金にした。
そして、新しいベースも購入した。
店員がそんな事している店だから、その後当然潰れた。
そして俺は生まれて初めて貯金って行為を行った。
今まで、給料日前は銀行の残高が0なのが当たり前だった俺にとって、お金が残るって事に違和感を感じ無理にでも使わなくてはいけない意味のわらない罪悪感にも襲われた。
俺にとっての人生のターニングポイント。
普通の人の感覚に戻してくれたきっかけの500円戦争。
ときどき思い出すんだ・・・
あの21歳位の時の500円を追いかけて仲間と一丸となって店内を走り回って、大量獲得の時は笑いあい、まさかの坊主だった日には反省をし、毎日がギラギラしていたあの頃を。
いつも間にか大人になってしまった、いつの間にか500円を見てもワクワクしなくなってしまった。
少し歳はとってしまったけど、あのワクワクとトキメキをもう一度自分の中で再熱させるべく、中年になっても勢い落とさず走り続けたいな。
ありがとうロックンロール